穏やかな風が吹く公園で、ただ一人立ち尽くす男。目的もない。夢もない。この世界に生きる意味を持たない私は、疲れ果てていた。何もやる気が起きない。息苦しさを感じていた。

とはいえ、死に至るほど絶望し尽くしてもいなかった。日の当たるベンチに腰掛ける。ほんのりと熱を持ったベンチが背中を温め心地よい。これは一つの幸福なのだろうと思った。生きていたいという本能は感じられる。しかし、生き抜いていく気力は空っぽに等しいように思われた。

どれだけの時間が過ぎただろうか。呆然としている中で影が伸びていることに気がついた。学校帰りの子供達の声はまだ聞こえている。

「俺さ、女の子に好かれたいんだ」

「なんだ急に。好きな子でもできたのか」

「いや、そういうわけではないんだが、なんていうかモテたいのよ。そういうお年頃ってやつかな」

男子の声が聞こえる。会話の内容からして、小学生にしてはあまりにませているように思われた。中学生くらいだろうか。気になって声の方を向いてみた。

一人は非常に背が高く痩せ型。もう一人は低くはないが際立って高くもなく、顔は少しまんまるしているようだが、太っていると言えるほどでもなかった。